John Lobb フィリップ2 ダブルバックル。7000番ラストの完成形を、あえてダークブラウンで。

「ビジネス革靴、休日用の革靴も大体揃ったな」

そう思いつつ立ち寄ったいつもの某革靴ショップで、筆者はその「深み」に目を奪われました。店員さんに紹介されたのは、ジョンロブの最高峰、プレステージラインに君臨する「PHILIP II(フィリップ2)」のダブルバックルです。

王道のブラックもご紹介いただいたのですが、筆者の心を動かしたのは、鈍く、かつ透き通るような光沢を放つダークブラウンでした。今回は、手にするのに少しばかりの「勇気」を必要とした、この至高の一足について綴ります。

目次

1. 7000番ラストが生み出す、安心感のあるシルエット

この靴を語る上で外せないのが、ジョンロブの名作木型「7000番ラスト」です。実は以前ご紹介した「シティ2」も同じ7000番なのですが、フィリップ2になると、その佇まいはまた別物に感じられます。

シティ2が「究極のシンプル」を追求したストレートチップだとしたら、フィリップ2はそこにプレステージラインならではの意匠が加わった、いわば完成形。同じ木型でも、キャップ部分のパンチング(穴飾り)や、ダブルバックルの金属光沢が加わるだけで、これほどまでに印象が変わるのかと驚かされます。

同じラストだからこそ、足を入れた瞬間に「あのシティ2と同じ、吸い付くようなフィット感だ」という安心感がある。しかし、目に入る景色は全くの別世界。このギャップこそが、ジョンロブのラインアップを揃えていく醍醐味かもしれません。

あわせて読みたいジョンロブの正統、シティ2(7000番ラスト)の記事はこちら。 [

John Lobb フィリップ2 ※筆者私物
John Lobb シティ2 ※筆者私物

2. 既製靴への挑戦状。PHILIP IIが持つ歴史的背景

ここで少し、このモデルの背景に触れてみたいと思います。実はPHILIP IIというモデルは、ジョンロブの歴史においてもエポックメイキングな存在です。

もともとジョンロブには、ビスポーク(注文靴)の世界で圧倒的な人気を誇るデザインが数多くありました。その「ビスポークのクオリティを、いかにして既製靴で再現するか」という問いに対して提示されたのが、このフィリップ2です。

特にこのダブルバックル仕様は、元祖ダブルモンクである「ウィリアム」の剛健さとは対照的に、ドレスシューズとしての優雅さを極限まで高めています。 ブラックの紐靴タイプは王道ですが、今回選んだダークブラウンのダブルバックルは現在廃盤となっており、入手が難しい状況となっています。あの時、某革靴ショップでこれに出会えたのは、今思えばかなりの幸運だったと感じています。

3. プレステージラインという「聖域」の意匠

フィリップ2が通常のラインと決定的に違うのは、その細部の作り込みです。

  • シームレスヒール: 踵(かかと)に継ぎ目がない一枚革の仕様。平面の革を、立体的な踵に歪みなく沿わせるのは至難の業です。後ろから見た時の美しさは格別です。
  • ベヴェルドウエスト: 土踏まずが極限まで絞り込まれており、既製靴とは思えない色気があります。
  • 半カラス仕上げ: そして、靴を裏返した時に目を奪われるのが、二色に塗り分けられた「半カラス仕上げ」のソールです。見えない部分にまで手間をかけるこの仕様こそが、プレステージラインを所有する満足感を高めてくれます。

手に取った瞬間は「自分にはまだ早いかも」と正直気後れしてしまいました。今でも履き下ろす時は少し緊張しますが、その緊張感こそがこの靴を持つ価値なのだと思います。

美しいシームレスヒール
半カラス仕上げ

4. ダークブラウンをどう履きこなすか

黒靴が多い筆者にとって、このダークブラウンは新鮮な存在です。 ジョンロブの革は、ただの茶色ではなく、光の当たり方で奥行きが変わる独特の質感があります。

  • ビジネス: 主に重要な場面で、ネイビーやチャコールグレーのスラックスに。黒よりも全体が柔らかい印象になり、適度な華やかさが出ます。
  • オフの日: さすがにデニムには合わせませんが、きれいめのスラックスなどで少し背伸びをしたい日に。

正直、まだ履いている回数は少なく、革も馴染みきっていません。そのため、具体的なサイズ感の深掘りレビューはもう少し先になりそうですが、この靴に相応しい大人になれるよう、焦らずじっくり付き合っていこうと思います。

John Lobb フィリップ2 ※筆者私物
John Lobb フィリップ2 ※筆者私物

5. まとめ:いつか「当たり前」に履きこなせる日まで

シティ2という名作を経て手にした、フィリップ2。 同じ7000番ラストという共通項がありながら、プレステージラインが放つ圧倒的な格の違いを、日々肌で感じています。

まだまだこの靴に自分自身が追いついていないと感じることもあります。しかし、ビジネスとオフの両方で共に時間を過ごすうちに、いつかこの靴が「当たり前」の相棒になってくれることを願っています。

最高峰のジョンロブ、そしてPHILIP II。 この一足と共に歩むこれからの時間が、今から楽しみでなりません。

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この記事を書いた人

新社会人で革靴の魅力に触れて以来、歴11年。 ジョンロブ、J.M. WESTON、オールデン、トリッカーズ、クロケット&ジョーンズからリーガルまで、多様な名作を自らの足で確かめてきました。時間をかけて馴染ませた実体験をもとに、カタログスペックでは語れない「靴の本質」を綴ります

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