「旅行なら、スニーカーが一番でしょ」
その意見に、1ミリの異論もありません。軽くクッション性が良くて、どれだけ歩いても疲れない。現代のテクノロジーが詰まったスニーカーは、間違いなく「快適さ」において現代の正解です。私自身、スニーカーは大好きですし、特にナイキのスニーカーはヘビロテしています。
でも、そんなスニーカーの利便性を百も承知の上で、私はあえて、旅の相棒にAldenのブーツを選びます。
なぜ、わざわざ重くて脱ぎ履きが面倒な革靴で旅に出るのか。今回は、一人の革靴好きの「勝手な言い分」を綴ります。
「その場しのぎ」の快適さか、「一生モノ」の記憶か
スニーカーで歩く旅は、確かに軽やかです。でも、革靴にはスニーカーにはない「時間軸」の楽しみがあります。
旅先で不意に降られた雨の跡、慣れない石畳を歩いて刻まれた深いシワ、空港のロビーで紐を締め直した時の感触。それらすべてが、ただの汚れや劣化ではなく、人生の「エイジング」として靴に残り続けます。
10年後、20年後にその靴を磨きながら、「あの時の旅は過酷だったな」と思い出せる。 「その瞬間の快適さ」を優先するのも一つの正解。でも「旅を一生物の記憶として履き続ける」ために革靴を選ぶのも、また贅沢な正解。 これが、私が旅に革靴を持ち出す、個人的な理由です。
悪天候を共にするなら、Alden 404という「安心感」
旅先の天気は、いつだって気まぐれです。 もし予報が怪しく、石畳や坂道をガシガシ歩き回ることが分かっているなら、私の選択はAlden 404(インディブーツ)です。
この靴に使われている「クドゥーレザー」は、とにかくタフ。雨や泥、予期せぬ擦り傷さえも、この革にとっては魅力的な「味」でしかありません。長期の旅行では靴を休ませる時間が取れず、連日履きっぱなしという過酷な状況も珍しくありませんが、404の堅牢さはそんな不安を打ち消してくれます。
「何が起きても、この靴なら大丈夫」
そう思わせてくれる靴が足元にあるだけで、旅先での心細さが、心地よい安心感に変わるのです。
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旅を「仕上げる」なら、Alden 4545Hの美学
一方で、天候に恵まれることが確実で、都市部を巡る旅なら、私はAlden 4545H(タンカーブーツ)を手に取ります。
旅行の荷物を減らそうとすると、服はどうしてもシンプルで機能的なものに偏りがちです。下手をすると、ただの「移動着」になってしまう。 けれど、足元にこのブラックコードバンのタンカーブーツを持ってくるだけで、装いが一気に「完成」します。
確かに、空港の保安検査場で紐を解くのは手間ですが、紐を締め直し、こだわりの愛靴で歩き出す瞬間、自分の旅の質がカチッと一段上がるような気がするのです。
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旅の終わりは、メンテナンスの始まり
帰宅して、玄関で靴を脱ぐ。 そこには、出発前から少し成長した愛靴がいます。
砂埃を払い、クリームを入れ、ブラッシングする。そうして手入れをする時間は、旅の思い出を振り返る時間でもあります。 スニーカーなら「汚れたから洗おう」で終わる話が、革靴なら「この傷はあの時のものだ」という対話になる。
効率や快適さだけを求めるなら、革靴は選ばない方がいいかもしれません。 でも、もしあなたが「旅を一生モノの記憶にしたい」と願うなら、ぜひお気に入りの一足を履いて出かけてみてください。
30年後のあなたが、その靴のシワを眺めながら、今の旅を懐かしく思い出しているはずです。





