オールデン 990 プレーントゥの至り|伝統のバリーラストとコードバンを履く【デッドストック購入記】


目次

1. 運命の即決。憧れ続けた「990」のデッドストック

靴好きにとって、Alden 990は単なる品番ではなく、一つの象徴です。 「いつかは」と思い描きながらも、近年のコードバン枯渇による極端な品薄、そして高騰。マイサイズに出会うことすら叶わない日々が続いていました。

そんな中、いつもお世話になっている某革靴ショップに立ち寄ったところ、運良く状態の良いデッドストックの990に出会うことができました。しかも、筆者のジャストサイズの「9D」(前回の記事でご紹介したオールデン1339と同じバリーラストのため把握済み)。

手に取ってみると、コードバンの質感が本当に素晴らしく、迷う理由がありませんでした。ずっと探し続けていたモデルだっただけに、マイサイズを目の前にしてようやく手に入れられたという安堵感と嬉しさがこみ上げてきました。


2. オールデン 990が「王様」と呼ばれる歴史的背景

1884年、マサチューセッツ州ミドルバラで創業したオールデン。その膨大なアーカイブの中でも、990は特別な存在であり、オールデン屈指の不朽の名作です。

この靴を語る上で欠かせないのが、「バリーラスト(Barrie Last)」という木型の存在です。アメリカントラッドの黄金期を支えたこのラストは、ドレスシューズとしての気品を保ちながらも、足を締め付けないコンフォートさを両立させました。

特に990のような「外羽根式プレーントゥ」は、アメリカの軍靴の流れを汲みつつ、ビジネスエリートたちの足元を支えてきた歴史があります。余計な装飾を一切削ぎ落としたからこそ、素材の良さと木型の美しさがダイレクトに伝わる。この潔さこそ、990が時代を超えて支持される理由です。

オールデン990 ※筆者所有

3. 魔性の素材「ホーウィン社製シェルコードバン」の正体

990に使用されるのは、シカゴの老舗・ホーウィン社が誇るシェルコードバン。農耕馬のお尻の筋肉層(コードバン層)を削り出した希少な革です。

  • 「革のダイヤモンド」と称される光沢: 磨き込むほどに、底から湧き上がるような独特の鈍い光を放ちます。
  • 深く、うねるような皺: 牛革(カーフ)が細かい網目状の皺を刻むのに対し、コードバンは「太く、大きく波打つような皺」が刻まれます。これが各靴ごとの唯一無二の表情となります。
  • 美しき「8カラー(ダークバーガンディ)」: 室内では黒に近く、日光の下では深いワインレッドに輝くこの色は、オールデンの代名詞です。
暗がりでのオールデン990 ※筆者私物
明るいところでの1339 ※筆者私物
(ちょうど良い990がなかったため、代打1339)

4. プレーントゥが描く、コードバン・エイジングの真骨頂

990の最大の魅力は、一切の装飾を排した「プレーントゥ」であるからこそ、コードバンの経年変化をダイレクトに楽しめる点にあります。

  • 「うねり」を育てる楽しみ: Vチップ等と異なり、990は大きな一枚革で構成されています。そのため、履き込むほどにコードバン特有の「太く、大きく波打つような皺」が甲全体にダイレクトに刻まれます。この皺の入り方は、歩き方や足の形によって千差万別。まさに自分だけの一足に育てる楽しさがあります。
  • 深みを増す「8カラー」の気品: デッドストック時の瑞々しいバーガンディも美しいですが、数年履き込み、ケアを繰り返すことで、その色はより深く、重厚な輝きを放つようになります。

バックアップシューズを併用しながら、無理のないペースで履き続ける。そうすることで、10年後、20年後には現行品では決して出せない、ヴィンテージのような風格を纏っていくはずです。この「育てる」という感覚こそが、990が多くの愛好家を惹きつけてやまない理由です。


5. サイズ選びの正解:1339と同じラストという安心感

今回、デッドストックを即決できた最大の武器は「サイズデータの蓄積」でした。 990が採用しているバリーラストは、筆者が愛用しているオールデン 1339(チャッカブーツ)と全く同じ木型です。

  • 筆者のジャストサイズ:9D

バリーラストは、アーチシェイプが効いたモディファイドラストとは異なり、全体的にゆったりとした「包容力のある」履き心地です。1339でその感覚を身体が覚えていたため、「これはマイサイズ」と確信できました。初めて990を検討されている方は、まず自分のバリーラストにおける基準を知ることが、失敗しない近道です。
ただし、オールデンは同じモデル、同じサイズでも他のメーカーと比較して「個体差」が出やすいメーカーです。購入となると、やはり実店舗での試着は必須です。

オールデン990 ※筆者私物
オールデン1339 ※筆者私物

6. オンオフを縦横無尽に駆け抜ける

筆者の5足ローテーションにおいて、990はもっとも登板機会が多い一足です。

  • Business: ネイビーのスーツやグレーのスラックス、ジャケパンに合わせて。
  • Casual: 筆者の休日スタイルでは、ジーンズ、軍パン(M 47等)、チノ、コーデュロイと、合わせられないパンツが見当たりません。

汎用性が高い靴のため、一足持っておくとオンオフ問わず大活躍する一足です。


オールデン990✖️リーバイス501 ※筆者私物
オールデン990✖️チノパン ※筆者私物

7. まとめ:デッドストックから始まる、新たな歴史

990は手に入れた瞬間が完成ではありません。 コードバンの皺を育て、ソールを張り替え、自分だけの形に馴染ませていく。その過程こそが990の真髄です

もし、あなたがどこかで運命の990に出会ったら、その時は迷わず手にとってください。この靴が、あなたの人生の「相棒」として相応しいことは、筆者が保証します。

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この記事を書いた人

新社会人で革靴の魅力に触れて以来、歴11年。 ジョンロブ、J.M. WESTON、オールデン、トリッカーズ、クロケット&ジョーンズからリーガルまで、多様な名作を自らの足で確かめてきました。時間をかけて馴染ませた実体験をもとに、カタログスペックでは語れない「靴の本質」を綴ります

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