Alden 99361 レビュー|BEAMS別注のブラックコードバン。サイズ選びの教訓と、理想の一足への過程。

はじめに

「一生モノのローファー探し」は、多くの革靴愛好家にとって避けては通れない苦難道です。筆者自身、以前の記事で紹介したJ.M. WESTON 180を手に入れる以前から、理想の一足を求めていました。

そんな折、いつもの某革靴ショップで出会ったのが、今回紹介するAlden 99361です。日本における「アメトラ」を提案し続けているBEAMSとのダブルネームであるこの靴について、その背景と筆者自身の経験を綴ります。

Aldenと99361、そして「Van Last」の系譜

1884年にマサチューセッツ州で創業したAldenは、アメリカ靴の王道として今なお世界中で愛されています。中でもローファーというジャンルにおいて、彼らが確立した「ペニーローファー」のスタイルは、アイビーリーガーたちの足元を支え続けてきました。

99361は、Aldenのローファー専用ラストである「バンラスト(Van Last)」を採用したモデルです。 バンラストは、Vチップに用いられるモディファイドラストや、定番のバリーラストと比較すると、甲が低めに設定されており、踵(かかと)のホールド感を重視した設計になっています。紐による調整ができないローファーにおいて、この「踵が抜けないこと」と「甲の抑え」のバランスこそが、バンラストが名作と言われる所以です。

さらに、BEAMS別注によるこのモデルは、伝統的な意匠を尊重しつつ、現代の日本のスタイルに馴染む端正な佇まいを備えています。

漆黒のシェルコードバンが持つ魅力

この靴を語る上で欠かせないのが、ホーウィン社製のブラックシェルコードバンです。 Aldenといえば、ブランドカラーとも言える「8(ダークバーガンディ)」がまず思い浮かびますが、ブラックコードバンにはそれとは異なる静かな魅力があります。

使い込むほどに力強い履き皺が刻まれ、磨き込むことで現れる鏡のような光沢。その表情は、カーフ(牛革)では決して味わえない、コードバン特有の奥行きを感じさせてくれます。黒という最も基本的な色でありながら、素材の質感によってここまで存在感を放つ靴は、他にはなかなかありません。

オールデン99361 ※筆者私物
オールデン99361 ※筆者私物

サイズ選びの現実:8.5Dという選択とその後の経過

ローファー選びにおいて、サイズフィッティングは常に大きな課題です。 筆者は普段、Aldenのバリーラストでは「9D」をジャストサイズとしています。しかし、99361を選ぶ際、ショップの方とも相談し、踵の浮きを最小限に抑えるためにハーフサイズ下げた**「8.5D」を選択しました。

「革が馴染めばちょうどよくなる」という期待を込めてのタイトフィッティングでしたが、現時点での結論を言えば、筆者の足には少々攻めすぎた選択だったと感じています。

朝の履き始めは、吸い付くような最高のフィット感を楽しめます。しかし、午後になり足にむくみが生じると、コードバンの「伸びにくい」という特性が裏目に出ます。特に小指付近への圧迫感が増し、結果として一日の終わりには痛みを伴うことが増えました。そのため、現在の登板頻度は決して高くはありません。

オールデン99361 ※筆者私物

これからの付き合い方:エース靴としての期待

サイズ選びでの背伸びは、失敗だったのかもしれません。しかし、だからといってこの靴を手放そうとは思いません。

99361が持つ造形美、そしてBEAMS別注というストーリー性は、やはり格別です。現在は、足のむくみが少ない日の短時間や、デスクワークがメインとなる日を選んで履くようにしています。時間をかけて、少しずつコルクを沈ませ、私の足の形に革を添わせていく。「早急な完成」を求めず、時間をかけて関係を築いていくことも、革靴趣味の醍醐味だと考えています。

おわりに

Alden 99361は、間違いなく名作です。 もし、これからこのモデルを検討されている方がいれば、私のようにタイトすぎるサイズを狙うのではなく、夕方の足の状態まで考慮したフィッティングをお勧めします。

今の私にとっては、まだ「少し手の焼かる相棒」ですが、10年、20年と経った頃、この苦労が笑い話になるようなエイジングを遂げていることを願っています。

気長に、大切に。エース靴としての階段を、一歩ずつ登らせていこうと思います。

Follow me!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

新社会人で革靴の魅力に触れて以来、歴11年。 ジョンロブ、J.M. WESTON、オールデン、トリッカーズ、クロケット&ジョーンズからリーガルまで、多様な名作を自らの足で確かめてきました。時間をかけて馴染ませた実体験をもとに、カタログスペックでは語れない「靴の本質」を綴ります

目次